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「形から考える」売れるパッケージ仕様10選(パッケージデザインの参考に)

お疲れ様です。管理人のはやとです。
いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は「形から考える売れるパッケージ仕様10選」をご紹介します。

こんな人におすすめの記事です。

  1. パッケージデザインのお仕事に携わっている方
  2. パッケージデザインを勉強しようと思っている方
  3. 目新しくおしゃれなパッケージデザインの参考にしたい方

簡単自己紹介

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売れるためのパッケージデザインとは、ズバリ他との差別化に尽きると思います。
素材や印刷加工でデザインを引き出す手法はたくさんあり、時代とともに進化してきました。
一方、パッケージの「形」の表現にフォーカスすると、これもまたたくさんの表現方法があります。
この記事には、「形」の表現について他との差別化を図るための参考になればと思います。
ときにはクールに、ときにはオシャレに、パッケージデザインのコツを掴むヒントになればと思ってます。

それではご紹介していきたいと思います。

第10位.ブローケース

「ブロー成形」によって仕上げたパーツを組み合わせて作る手法。
ブロー成形で作られている商品は世の中にはたくさんあります。「容器」と呼ばれるものはだいたいブロー成形です。
例えばペットボトル、化粧品、シャンプー、洗剤、スプレー容器など、プラスチックでできている容器はほとんどこの「ブロー成形」になります。

ブロー成形の手法を使った「パッケージ」は、あまり採用実績がない

デザイン性が高く特徴的なので、消費者にアピールできるレアな仕様としておすすめです。

ブローケースのメリットデメリット

〇 メリット

  • 3D の立体形状が自由自在に表現できる
  • 透明性が高い
  • 剛性感がある

✖ デメリット

  • 金型費用が発生する(40万円~)

少量多品種ですと金型費用の割合が高くなりますので、少量で安価な商品には適用が難しいです。
なので、単価の高い高級仕様のパッケージにはおすすめです。

金型費用がいらない場合もある

成形メーカーではいくつかの標準品を取り揃えていて、その形状が流用できれば新規の金型製作が不要になるので、流用できるものがあればラッキーですね。
流用できるかどうかは専門的な話になりますので、パッケージ制作会社等にお問合せすると良いと思います。

製品例:ソニーのヘッドホンパッケージ

第9位. ブリスターケース

主に真空成形によって作られたパーツを組み合わせて作るパッケージ仕様です。
中身をユーザーに直接魅せられるパッケージとして定番のスタイルですね。
プラスチック素材をたくさん使っているため、昨今のエコパッケージの流行に飲まれ気味ですが、安価に中身を魅せることができるので人気です。
日本ではゴミの分別環境が整っているため、あまり気にしない傾向があります。

ブリスターケースのメリットデメリット

〇 メリット

  • 中身を魅せることができるため表現性が高い
  • 金型費用が比較的安い(10万円~)
  • 試作が容易にできる(8万円~)

✖ デメリット

  • プラスチック素材が多く使われる

エコなプラスチックが充実

最近はエコフレンドリーな素材が注目されていますが、植物由来や生分解性素材の研究開発も進んでいて、これらのラインナップも増えてきました。

代表例4つ

  1. 植物由来PET
  2. リサイクルPET
  3. PLA(ポリ乳酸)
  4. デンプンや炭酸カルシウムを配合したPP

これらの素材を使うことで、デザイン性を落とさないままエコをアピールできますので、パッケージデザインをするときでこういう知識があるとデザインの幅が広がっていくと思います。

製品例:パナソニック電池 パッケージ (土に還るパッケージ)

世界的にはプラスチックを使わない流れになっていますが、それと同時に透明パッケージの開発が進んでいくことになります。

紙で透明な素材がある

え?と思う人もいると思いますが、「セルロースナノファイバー」という素材の開発が進んでいます。
原材料は紙と同じ「木材繊維」です。
この繊維を極限までほぐして固めると「透明」になるんです。驚きですね。
まだまだ実用レベルではないですが、将来このようなカーボンニュートラル、エコフレンドリーな素材が実用化されていくことでしょう。

セルロースナノファイバーに興味がある方は、日本製紙グループのウェブサイトで詳しく説明されていますので、こちらをご参考ください。

第8位.ハードケース


ハードケースとは、ここではアルミや鉄などの金属から作られているパッケージを表しています。
昔から高級菓子やお土産の商品パッケージで採用されているのでおなじみです。
主にアルミや鉄を使っているため、コストが高くなるうえに場所を取るので捨てるのに不便という声も多く聞きます。

しかし、最近はまた注目されるようになっています。

なぜ流行りだしているのか

「エコ」がキーワードになっています。

実は現在の日本では、ペットボトルよりアルミや鉄缶の回収率の方が高いというデータがあります。
回収されたアルミや鉄はリサイクルされます。一方プラスチックは多くが焼却され、熱エネルギーへの転換がメインとなります。
つまり、リサイクルの概念から「アルミや鉄の方がエコ」とアピールする活動家も目立ちますね。
また、人体に影響がない素材ということでパッケージにも安心して使用できます。

ハードケースのメリットデメリット

〇 メリット

  • リサイクルが容易で実はエコ
  • 高級感が得られる
  • 他の用途で使える

✖ デメリット

  • 場所を取る
  • 高価

やっぱり捨てないでずっと使い続けられるものがエコロジーですよね。しかし現実にはすべてのパッケージでそうはいかないと思います。
高級商材やギフト、お土産のパッケージなど価値が高いものには、このような仕様がおすすめです。

製品例:鳩サブレ

捨てないパッケージが究極のエコ

鳩サブレの一部のパッケージに採用されていますが、とてもしっかりと作られた箱ですので、もらった人とか捨てるのがもったいない感じがしますよね。
捨てても金属なので、将来何かにリサイクルされているのでエコはエコなのですが、捨てないで小物入れなどに使う人も多いのではないでしょうか。
これらのように捨てないパッケージを提供することも一つのエコの取組みと考えます。

鳩サブレの缶をコレクションにしている「クミン」さんのブログ“人生メンテナンす”でさまざまな用途で使い続ける様子が紹介されています。
理想的な小物入れをお探しの人はこちらを参考にしてみるといいと思います。

第7位.パウチ包装

日本では「軟包装」といいますね。詰め替え用としてはおなじみの仕様になります。
パウチのフィルムは何層にも貼り合わせることができます。
商品を保護するために内側はポリ系フィルム、外側は紙素材を使い、エコをアピールするものがあります。

パウチ包装のメリットデメリット

〇 メリット

  • 密封性が高い
  • 安価
  • デザイン性が高い

✖ デメリット

  • 少量生産だとコスト高

紙やパルプモールドと組み合わせてエコをアピールするパッケージ



あらゆる素材を組み合わせることで新しいパッケージデザインができるようになってきました。
デザインの幅を広げられる仕様かと思います。

第6位.紙管

紙管は文字通り「紙」の「管」になり、中が空洞になっています。
紙のシートがらせん状に巻かれて筒の形状になりますので、斜めの線が見えているのが特徴です。
パッケージでは紙管の上に印刷された紙を最後に巻きますので、斜めの線は目立たなくなります。
一般的に四角型のパッケージが多いので円柱型にすると人の目を引くことになります。

紙管のメリットデメリット

〇 メリット

  • デザイン性が高い(目立つ)
  • 強度がある

✖ デメリット

  • 内容物スペースが四角型より劣る
  • デザイン有効スペースが四角型より劣る
  • コスト高(通常の四角い箱と比べて)

使用後、小物入れとしても使える

紙管で作られたパッケージは強度が強く、捨てるにはもったいないと思う方も多いと思います。
なので、小物入れだったりお菓子おつまみのケースとして流用している人もたくさんいますね。
そんな流用するにふさわしいデザインがされていると消費者も使いやすくなります。

また、身と蓋の勘合をきっちり作ることができますので、蓋を開けるとき、「ポンッ」と音が鳴ります。
「音が出る」ことを売りにした紙管パッケージで人気を集めているTAISEI株式会社の「POCHI-PON」というポチ袋商品が有名です。

普通のポチ袋は封筒型のものがほとんどですが、目新しいデザインで注目を浴びる商品ですね。
年に一度のお年玉などにこんなかわいいパッケージでもらえたら、中身の金額が少なくても喜ばれるかもです(笑)

第5位.組箱

日本では和菓子や洋菓子、お土産品のパッケージでよく見かける仕様です。
キャラメル式の箱式では物足りない、でも貼箱のようなしっかりとしたものまでを必要としない仕様によく使われます。
コストと高級感をバランスよく良いとこ取りをしたものと言えますね。
印刷、コーティング、箔押し、エンボス加工など様々な技術を盛り込むことで多様な表現ができ、あらゆるジャンルのパッケージとして活躍しています。

組箱のメリットデメリット

〇 メリット

  • 落ち着いた高級感が表現できる
  • コストバランスが良い

✖ デメリット

  • 組み立てる作業が必要
  • 重いものには不向き

捨てるときは、バラせるので便利

貼箱のように糊で貼り付けるタイプではないので、捨てるときは簡単に組み外せますので便利です。
デザイン性、コスト、サスティナブルとあらゆることでバランスが取れた王道パッケージです。

第4位.シースルー

商品を直接ユーザーに見せることができるということで、定番中の定番といっても良いでしょう。
化粧品のパッケージで多く採用されていますね。
商品を直接ユーザーに見せるパッケージとして第9位にブリスター仕様を紹介しましたが、
こちらと差別化をすると、「金型費用が抑えられる」というメリットがあります。
透明の部分はPETやPPの窓を使われますが、これらの仕様では金型を使った成形が必要ありません。

円型、四角型、三角、ひし形、さまざまな形が表現できる

高度な設計技術が必要になりますが、工夫をすれば表現方法が無数にあり、パッケージデザインの幅が広がります。
化粧品に限らず、食品、ギフト用品、家電製品、雑貨など様々なジャンルで活躍しています。

シースルーのメリットデメリット

〇 メリット

  • 表現性が高い
  • コストバランスが良い

✖ デメリット

  • 透明部分はブラスチックになるため、環境という面では不利
  • 傷が目立つ
  • 生産工場が限られてくる

環境対応は進んでいる

現代のシースルーパッケージのほとんどはプラスチックが採用されています。
「エコ」が注目される昨今では敬遠されがちです。
しかし、エコ対応も開発が進んできました。
例えば植物由来の透明プラスチックやリサイクルPETなど、環境対応をアピールする材料が増えてきており、
さまざまな国で取扱いが可能になりました。

これらのような技術が進むことで、パッケージの表現力を落とす必要もなくなることでしょう。

第3位.紙射出成形

新しいエコ素材として注目を集めています

今まで射出成形といえばプラスチック素材ですが、プラスチックを一切使わず、紙ファイバーを使って射出成形ができるようになりました。

紙射出成形のメリットデメリット

〇 メリット

  • 究極のエコ
  • 射出成形なので、形状が自由自在
  • 着色が容易

✖ デメリット

  • 強度が劣る
  • 表面平滑度が劣る

企業アピール、ノベルティにおすすめ

紙射出成形はプラスチック射出成形の代替として開発されてきた技術ですが、筐体として使うにはまだまだ強度が足りません。
よって、現在はパッケージ用途で使われることが多いです。

採用実例紹介


※Beatsのヘッドホンパッケージ

また、筐体として使う場合はノベルティとしてならば超おすすめです。エコへの取り組みが全面的にアピールできます。

紙射出成形の詳細は別記事でも紹介していますので、興味がある方はこちらよりご覧ください。
関連記事:紙素材なのに射出成形 ~究極のエコ化が進む~

第2位.貼箱

 
こちらの貼箱はiPhoneの箱で採用されていることで有名ですね。
そのほか、高級商品を中心に様々なカテゴリーで採用されています。
ギフト品、高級和菓子、高級酒、ハイエンド家電商品、ジュエリー、腕時計のパッケージなどに使われています。
貼箱は芯材とくるみ紙(表面に巻き付ける紙)を貼り合わせて作られますので、箱の強度があり、かっちりとした仕上がりになります。
くるみ紙に装飾紙をつかったり、印刷、エンボス、箔押しなどを施すことで多様な表現ができることも貼箱の特徴です。
このように表現性が高い貼箱の仕様は、パッケージデザイナーさんにとって採用したいという方も多いと思います。
しかし、生産コストが高くなるために手が出せず、採用できないパターンも多いかと思います。

貼箱のメリットデメリット

〇 メリット

  • デザイン表現性が高い
  • 高級感がある
  • 使用後に他用途で使える

✖ デメリット

  • コスト高

Vカット貼箱が流行ってます

芯材またはくるみ紙にVカットを入れると、シャープエッジを作ることができます。
特にくるみ紙にVカットを入れた仕様では究極のシャープエッジを作ることができ、人気が出てきました。
しかし、この仕様を作るには精度の高い設備が必要となり、生産できる工場が世界的にも限られてきますので、委託する場合は注意が必要です。

サイズや仕様によっては超コスト高

貼箱は材料代や工程が多くなり、高価なものになりますが、生産数量が多ければ全自動貼箱機が使えます。
自動化ができる仕様であれば経済コストになったりします。
しかし全自動機に入らないくらいサイズが極端に大きい、小さいなど、仕様が違ったりするとどうしても自動で作ることができないため、コストが跳ね上がります。
作業が多くてコストが高くなるものについては、海外生産がおすすめです。中国やタイなどでは貼箱を作る工場が相当数あるため、安価で供給できることが多いです。

特別仕様品、高級な商品のひときわ目立つパッケージには是非とも採用したい仕様ですね。

第1位.パルプモールド


パルプモールドと言えば、今も昔も「卵のトレイ」や「家電製品の緩衝材」として使われるケースが多いです。
しかし、ここではさらにデザイン性の高いパルプモールドを紹介します。
卵のトレイとは少し作り方が違い、表面のつるつるに仕上がります。
よって、パッケージの外装として人気が出てきました。
日本では作る工場が無いため、基本は海外での生産になりますが、海外であれば中国が盛んで、東南アジア圏でも作れる工場が増えてきました。

パルプモールドのメリットデメリット

〇 メリット

  • 3D表現ができる
  • エコフレンドリー
  • 高級感に加え清潔感がある

✖ デメリット

  • 繊細な印刷には不向き
  • 金型イニシャルコストがかかる

特徴は3D 表現ができること

パティシエで有名なエスコヤマさんの商品「BOTCON」で3Dの特徴を生かしたパッケージで使われました。
原料のカカオの形をそのままパッケージで表現し、目を引くおしゃれなパッケージデザインとなっています。

今までこのような3D 表現をする場合、プラスチックベースで真空成形が主な手法でしたが、パルプモールドの進化によりエコで真っ白な清潔感溢れるものが出来上がります。

別記事「パルプモールドはパッケージのトレンドになる」でこのパルプモールドについて詳しく解説しております。

関連記事:「パルプモールドはパッケージのトレンドになる」を見に行く

いかがでしたでしょうか。今回は売れるパッケージ仕様10選を紹介しました。
少し長い記事になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
現在パッケージデザインのお仕事をされている方、これからパッケージデザイナーを目指したい方に少しでもお役に立てられれば幸いです。

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